水虫・爪水虫

水虫とは

水虫は、白癬菌というカビ(真菌)の一種の感染症です。全国の推定患者数は2,500万人と言われています。

白癬菌とは

私たちの周りの至る所に存在しています。特に、プールや公共浴場など、湿った環境に多く存在します。不特定多数が出入りするような場所であれば、湿っていない場所にも存在しています。
乾燥した皮膚に白癬菌が付着したとしても、洗い流れたり、自然に落ちて感染するということはありません。
しかし、皮膚が湿った状態であれば定着し、皮膚の角質内で白癬菌は増えていきます。ケラチナーゼという酵素で角質のケラチンを溶かし、栄養源にしているのです。
また、家族の中で感染する場合も多くみられます。家族の一人がかかったら、スリッパやお風呂のマットを共有しないなど、他の家族にうつさないよう注意が必要です。

水虫の種類

水虫の種類には、3つのタイプがあります。
趾間型 ・・・ 足の指の間が、じくじくして、皮膚が剥けます。
水疱型 ・・・ 小さな水疱とがさがさができます。
角化型 ・・・ 足の裏、特にかかとが硬くなり、ヒビが入ることもあります。

≪爪水虫とは?≫
カビは爪にも感染します。爪の中に、白癬菌が住み着いてどんどん増殖していきます。爪のケラチンを栄養に生き続け、爪は白く濁り厚くなり、1ヵ所の爪だったのが、2ヵ所、3ヵ所と増えていきます。
また、放っておくと菌はばらまかれ、自分の体の他の部分“体部白癬”、“股部白癬(たむし)”、さらには周りの人にもうつしてしまうのです。

水虫の診断

病変の一部を顕微鏡で覗くと、白癬菌が確認できます。爪白癬では確認しにくい場合がありますが、診断確定のためには培養を行うこともあります。
水虫にはよく似た病気(掌蹠膿疱症や汗疱など)があり、爪の水虫にもよく似た病気(爪の扁平苔癬や爪の乾癬など)があります。
治療しても、治らない。そんなことが無いように、まず正しい診断が大切なのです。

水虫・爪水虫の治療

水虫の治療

抗真菌剤の塗り薬です。外用を毎日続けます。治療を開始すると、発疹は早いうちに改善したように見えます。
しかし外用の期間は、体では1ヶ月、足では3ヶ月必要です。また外用する範囲が大事なポイントです。抗真菌剤は白癬菌の菌糸に効きますが、胞子には効きません。したがって菌糸が活発に細胞増殖しているとみなされる病変部だけの外用では不十分なのです。胞子が存在すると考えられる範囲全体に外用し、そして皮膚の角質が入れ代る期間塗り続けると、角質から胞子が除菌され、再発しません。

爪水虫の治療

爪水虫の治療薬には爪水虫専用の外用液と内服薬があります。
まず外用液ですが2種類(クレナフィン、ルコナック)あり、爪の中まで浸透することが特徴です。1年く程度の治療により正常な爪になりますが、効果には個人差があり、かぶれることもあるので外用には注意が必要です。
内服薬ですが内服期間が12週のネイリン、6か月のラミシール、3週おきに1週間服用を3回繰り返すイトリゾールの3種類あります。ネイリンを筆頭に有効率が高いのが特徴です。副作用としてはネイリンでは肝機能が少し悪化することがあります。ラミシールでは白血球減少や肝機能障害に注意を要するため定期的な血液検査が必要です。またイトリゾールでは他薬との飲み合わせに注意を要します。
爪の治療には根気が必要ですが、きちんと治療すればかなりの確率で治癒します。

≪糖尿病と水虫≫
糖尿病の患者さんでは免疫力が強くないため、水虫に感染すると治りにくく、全身状態の悪化や寒冷時の血行障害とともに急速に進行し、結果的に糖尿病性壊疽に至るケースがあります。そのリスクを回避しておくことは、とても大切なことなのです。
恥ずかしがらずにかかりつけ医に足を診てもらいましょう。