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アトピー性皮膚炎【春の対策】
【春の対策】
注意するポイントは、花粉、寒暖差、乾燥と発汗です。
2月は広島市でも極めて厳しい寒さが続き、最低気温が氷点下を計測した日は11日もありました。極端な寒冷刺激により皮膚バリア機能も劣化すると考えられますが、そのためか顔や頚の肌荒れ(湿疹)が出た方も少なからずおられました。3月以降強い寒気は減るでしょうが、日々あるいは週の寒暖差が大きいのが春の特徴です。この気温変動により皮膚の知覚過敏が増悪することがあります。抗アレルギー剤の内服、種々の外用剤の多めの使用で増悪をしのぎましょう。
広島市内では3月からスギの花粉が増加していますが、花粉あるいは黄砂等の刺激によりマブタなど顔面に湿疹が出ることがあります。花粉の多い日には早めに洗顔やシャワーなどで洗い流しましょう。女性に多い傾向があり、化粧はしっかり、保湿もたっぷり、を心掛けてください。予防が第一ですが治療にはタクロリムス軟膏やマブタ用ステロイド外用薬を用います。なおハンノキ、シラカバなどブナ目花粉に感作されている場合、バラ科(リンゴ、モモ、イチゴなど)やウリ科(メロン、スイカなど)の果物に対して口腔アレルギー症候群が出ることがあり、ブナ目花粉が飛散する1月から5月くらいまで抗アレルギー剤の内服が有効です。
さらにゴールデンウイークの頃から気温が上がり、汗をかきやすくなります。汗でアトピーは悪化することがありますが、汗の良い面も理解されるようになってきました。汗に含まれる抗菌ペプチドや免疫グロブリンは皮膚の善玉菌である常在菌を守り、有害な病原菌の侵入を防ぐという働きがあります。また保湿とPH調節に大切な尿素や乳酸等も含んでおり、汗を上手にかくことは丈夫な皮膚を造ることにつながります。汗を避ける生活習慣等から発汗機能が低下していくケースもありますが、アトピー克服のために汗をかく体に戻しましょう。とは言え、当面のかゆみがひどい場合には、濡らしたタオルやシャワーなどで軽く流すよう工夫もしましょう。
アトピー性皮膚炎「冬の対策」
冬は寒気と乾燥に注意が必要です。保湿剤や加湿器なども利用しながら保湿に留意しましょう。入浴ですが浴槽にゆっくりつかると皮膚角層の水分量が増える、という報告があります。また体の芯が温まると適度な発汗が促され、汗の保湿成分(乳酸や尿素など)により肌の潤いも期待されます。なおナイロンタオル等でのゴシゴシ洗いは悪化要因となります。外用剤は入浴後15分以内に塗るのが理想的とされ、軟膏タイプが保湿効果に優れます。なお乳幼児は寒冷により湿疹が悪化することがありますので、そのような場合にはステロイドやタクロリムス軟膏をしっかり外用しましょう。
衣服について。ヒートテック等の吸湿発熱素材肌着、ニットや裏起毛は皮膚の乾燥と知覚過敏を誘発することがありますので肌触りのよい綿の肌着が基本となります。また冬場の低水温では洗濯の際、衣類の繊維間に洗剤や柔軟剤などの成分が微量残留する可能性があり、皮膚の刺激となり得るので留意ください。
2月以降はスギやヒノキの花粉が飛散します。花粉によってまぶた等に湿疹ができる花粉皮膚炎にご注意ください。予防には保湿と帰宅時の洗顔、治療にはタクロリムス軟膏や眼科用ステロイドが有効です。